区分所有法 第十五条(共用部分の持分の処分)の解説

条文

共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。

2 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。

解説

共用部分の持分は、その有する専有部分の処分に従うということですので、原則として専有部分と共用部分を分離して売却したり抵当権を設定したりすることができません。

例外規定として、第二項にこの法律に別段の定めがある場合は分離して処分ができると定められています。別段の定めについては通常「規約に」となっていますが、本条で「この法律に」となっているのがポイントです。

この別段の定めとはどいういうものかというと、第十四条第四項の共有持分割合の変更と第二十七条の管理所有がこれにあたります。管理所有とは管理者が共用部分を所有することで、管理規約にそのような定めがあれば可能となります。

土地に対する権利(敷地利用権)についても、第二十二条で専有部分とその専有部分に係る敷地利用権を分離して処分することを禁じていますので、区分所有建物では建物の権利(専有部分および共用部分)と土地の権利が一体として扱われます。

ただし、共用部分については「この法律に別段の定めがある場合」ですが、敷地利用権については「規約に別段の定めがあるとき」となっており、扱いが異なりますので注意が必要です。

関連法規等

マンション管理標準規約(単棟型) 第11条(分割請求及び単独処分の禁止)

区分所有者は、敷地又は共用部分等の分割を請求することはできない。

2 区分所有者は、専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない。

マンション管理標準規約(単棟型) 第11条関係コメント

1 住戸を他の区分所有者又は第三者に貸与することは本条の禁止に当たらない。

2 倉庫又は車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを他の区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫(車庫)とを分離し、又は 専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設 定等の処分をしてはならない旨を規定する。

民法 第二百五十六条(共有物の分割請求)

各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。

2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。

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