区分所有法 第八条(特定承継人の責任)の解説

条文

前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。

解説

区分所有者に対する債権(管理費の滞納等)は、その専有部分を購入した人や競売によって取得した人にも請求することができます。

特定承継人とは、専有部分を購入した人のように他人から特定の権利だけを承継する者のことを指します。競売によって所有権を取得した人も該当します。これに対して、相続人のように他人の有する権利義務の一切を承継する者を包括承継人と言います。

前条第一項に規定する債権とは、「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」のことです。

この規定により、以前の区分所有者が管理費や修繕積立金を滞納していた場合、その専有部分を購入した新しい区分所有者にも滞納費を請求することができます。なお、未払い管理費があることを知らずにマンションを購入した場合でも本条は有効ですので、マンションを購入する際は、未払い管理費がないか気をつける必要があります。

また、以前の区分所有者も専有部分を売却することでその責を免れるわけではありませんので、以前の区分所有者に滞納費を請求することも可能です。

問題は、駐車場使用料等を滞納していた場合も特定承継人にそれを請求できるかどうかということです。

これは判例によっても判断がわかれていますので、物件の状況や管理規約の定めに基づき司法が判断すると理解しておいたほうがいいでしょう。

なお、宅建業者が仲介を行う場合は重要事項説明書で滞納管理費等の金額を明示する必要があります。

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