区分所有法 第六条(区分所有者の権利義務等)の解説

条文

区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。

3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。

解説

第六条では、区分所有者が守るべき基本原則と自らが所有する専有部分以外の範囲の使用について規定されています。

民法上は、第二百六条(所有権の内容)において、「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」と定められており、所有物を自由に使用することができます。しかし、区分所有建物のように建物の一部をそれぞれが所有するという形態において、それぞれが自由に管理・使用するとトラブルが生じますので、区分所有法で一定の制限(義務)が課されています。

制限としては大きく2つあり、建物の保存に有害な行為と区分所有者の共同の利益に反する行為が禁止されています。

具体的な禁止行為や義務は管理規約や細則で定められることになりますが、トラブルがあった時にはこの共同の利益に反する行為にあたるかどうかが、判断のポイントとなります。

なお、違反者に対する措置については、区分所有法第57条「共同の利益に反する行為の停止等の請求」、第五十八条「使用禁止の請求」、第五十九条「区分所有権の競売の請求」、第六十条「占有者に対する引渡し請求」にて定められています。

第二項の規定では、区分所有者の権利として他の区分所有者の専有部分等の使用を請求できるということが定めてあります。日常生活においてはそれほど意識することはあまりありませんが、漏水が起こった際の原因調査などで他の部屋への立ち入りが必要となってくる場合があります。

第三項でははじめて占有者という言葉が出てきています。区分所有者以外の専有部分の占有者と定義されていて、分譲貸しによって入居している賃借人や店舗のテナントがこれに該当します。

占有者も第一項の規定は守らなければなりません。区分所有者であろうと占有者であろうと、区分所有建物は多くの人が集まって住んだり仕事をしたりする形態なので、周りに迷惑をかけるような行為はしてはいけないということです。

第四項に記載されている民法第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定とはそれぞれ所有者不明建物管理命令と管理不全建物管理命令のことですが、これらは区分所有建物には適用されません。

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