区分所有法 第三条(区分所有者の団体)の解説

条文

区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

解説

第三条では、区分所有建物の管理を行うための団体について規定されています。

一般的にはこの管理を行うための団体を「管理組合」と呼びますが、実は区分所有法において「管理組合」という名称は定義されておらず、法人化した場合の「管理組合法人」だけが定義されています。

第三条の組み立てをみると、「~構成し、~できる。」となっており、少しわかりにくい部分がありますが、この「構成」に「できる」はかかりません。ですので、区分所有者となれば管理を行うための団体を自動的に構成することになる一方、集会を開いたり、規約を定めたり、管理者を置いたりすることは必須ではありません。

区分所有者となれば管理を行うための団体を自動的に構成することになるということは、逆に言うと分譲マンションを購入して区分所有者になったけれども、管理組合には所属したくないという意見も通らないということです。分譲マンションを購入すると自動的に管理組合の一員となります。

ということで、一般的な分譲マンションでは管理組合は必ずありますが、総会が開かれなかったり、規約が定められていなかったり、理事長(管理者)がいなかったりする場合はあります。

ただ、第三十四条第二項の規定により、管理者は少なくとも年に一回は総会を招集しなければなりませんので、理事長(管理者)がいれば必ず総会は開催されます。

後半は、一部共用部分にも上記と同様の規定が適用されることが記載されています。

一部共用部分とは一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分のことです。例えば、住宅と施設(店舗)の複合型の建物で、住宅専用の玄関や廊下、エレベーターなどは住宅の一部共用部分となり、店舗専用の玄関や階段などは施設(店舗)の一部共用部分となります。

管理を行う団体や規約などに関しては、一部共用部分についても同様とすると規定されていますので、一部共用部分を設定した場合は一部共用部分を管理する団体が構成されますし、総会を開催したり、規約を定めたりすることもできます。

よくあるのは管理組合とは別に住宅部会や施設部会を構成し、それぞれの一部共用部分を管理していくパターンです。

関連法規等

マンション標準管理規約(単棟型) 第6条(管理組合)

区分所有者は、第1条に定める目的を達成するため、区分所有者全員をもって○○マンション管理組合(以下「管理組合」という。)を構成する。

2 管理組合は、事務所を○○内に置く。

3 管理組合の業務、組織等については、第6章に定めるところによる。

マンション標準管理規約(単棟型) 第6条関係コメント

管理組合は、「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」(区分所有法第3条)であって、マンションの管理をより円滑に実施 し、もって区分所有者の共同の利益の増進と良好な住環境の確保を図るため構成するものであり、区分所有者全員が加入するものである。

区分所有法によれば、区分所有者の数が2名以上の管理組合は法人となることがで きるが、この規約では管理組合を法人とはしていない。したがって、ここにいう管理組合は権利能力なき社団である。

管理組合は、区分所有者全員の強制加入の団体であって、脱退の自由がないことに伴い、任意加入の団体と異なり、区分所有者は全て管理組合の意思決定に服する義務を負うこととなることから、管理組合の業務は、区 分所有法第3条の目的の範囲内に限定される。

ただし、建物等の物理的な管理自体ではなくても、それに附随し又は附帯する事項は管理組合の目的の範囲内である。各専有部分の使用に関する事項でも、区分所有者の共同利益に関する事項は目的に含まれる。

その意味で、区分所有法第3条の「管理」概念は、専有部分の使用方法の規制、多数決による建替え決議など、団体的意思決定に服すべき事項も広く包摂するといえる。

なお、管理組合内部における意思決定や業務執行についての統制も、法と規約に基づき行われることが要請されていることに留意する必要がある。

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